個別指導塾には様々なものがあり、すべてを画一的は扱えません、
「大多数の一般的な個別指導塾」と「少数の中学受験特化個別指導塾や単科塾など」
では、中身が大きく異なります。
ここでは、よく見かける「大多数の一般的な個別指導塾」についてお話します。
特徴は・・・
直接子供たちに接するのが、経営者ではない
多店舗展開している
講師の人数が多い
フランチャイズ など
※経営者(社長・会長・CEOなど)と教室長は全然違います。
逆に言えば、
経営者が直接子供たちと接したり,親御さんとの対応を行ったりする塾ではない
ということです。
個別指導塾
大多数の個別指導塾は,「勉強の仕方を教える」「わかるまで教える」「オーダーメイド」などといった漠然とした謳い文句で、様々な生徒を幅広く集める個別指導塾です。
このような塾でも,もともと成績優秀者であれば生徒自身で事前に質問や問題点を用意し、その解説を個別対応すれば学習効率を上げられます。簡単にいえば、生徒自身が授業の主導権を握り、プランニングすると言うことです。先生に自学自習の手伝いをさせる感覚でしょうか。
しかしこれができる生徒はごくわずかで、出来たとしても向上心にあふれた高校生ぐらいではないでしょうか。逆にそういう生徒たちは、このような個別指導塾を選ばないかもしれませんが・・・
個別指導塾の弊害① 素人運営
ご父兄があまり深く考えず、比較的学習が苦手なお子様を、学生アルバイトなどの素人講師が多々存在する個別指導塾にゆだねてしまうと、経験・知識に乏しい先生は、「やってはいけない」指導を一生懸命に熱心におこないます。
そして、営業専門で雇われている教室長などの教室責任者などは、指導内容自体理解できていませんので、ダメな授業に対して注意・改善すらできません。
そして、残念ながらもともと学習が苦手なお子さんも、授業の良し悪しが分かりません。
よくわからない人たちがよくわからないまま無為に時間だけが過ぎていき、授業料が累積していく・・・という感じです。
このような有様ですから,成績が芳しくない子供たちに対しては,個別指導塾に通うよりもまず学校の教員を利用しましょう。国家資格を持ったプロですから,経験も研修もほとんどない個別指導講師よりもはるかに優れています。親御さんやご家庭からしっかりアプローチすれば,きっと解決に導いて下さるでしょう。なにより毎日長時間通っているわけですから、利用しない手はありません。無料です。
個別指導塾の弊害➁ 宿題過多
これは、個別指導に限ったことではないですが、塾の宿題過多は学習において弊害どころか足枷になります。
具体的には
宿題偏重 → 宿題不完全 → やり直しの増加 → 次回授業時間減少 → 宿題に丸投げ →宿題不完全 →・・・
の悪循環が起こります。特に個別指導塾では授業時間が短いために、消化不良がたまっていく一方です。
宿題の弊害については、別アーティクルをご覧ください。
個別指導の講師は、毎度の授業の内容や宿題を業務レポートして提出する義務がある場合が多く、「宿題」を出します。その宿題が、生徒自身で出来るような内容ではなく(または出来てもやらない)、次回の授業を圧迫することになります。そして授業が前回の宿題でつぶれても、また新たな宿題を出すことになります。
もちろん、どこかで限界が来ますので、開き直っての指導放棄(先生と世間話して遊んで、時間つぶして終了)などが横行します。
これは先生自身の指導力云々以前に個別指導としてのシステムの欠陥です。
個別指導塾の弊害③ 迎合講師
個別指導塾のよくあるシステムですが、
「講師・先生を選べる・チェンジできる」ところに、問題があります。
授業の良し悪しが分かるぐらいの生徒なら,もともとそれなりの学力を有し成績もよいでしょう。しかし、個別指導塾に通う子供たちは、大多数が比較的学習が苦手な子供たちです。授業の良し悪しは分かりません。
そこで起こるのが
課題が簡単すぎる = 分かりやすい = 勉強が楽しい 講師が子供に迎合 = 面倒見がよい = いい先生
等といった、価値観の崩壊です。
これがさらに進むと・・・
雑談・遊興にふける講師が重用される
という事態に陥ります。
まともに授業をしようとする(少数の)講師がいたとしても、子供たちからの人気がないばかりか、講師の交代を宣告されたり、それが理由で減給・解雇されるでしょう。
このように、個別指導塾では講師の悪しき淘汰が行われ、子供たちに迎合する劣悪な講師しか生き残れない厳しい世界になっています。
個別指導塾の弊害④ 現実逃避
成績が芳しくない子供たちは,もともと学習に対して消極的です。
勉強はなるべくしたくない 似たような友達と一緒に居たい 自分より成績悪いヒトがいっぱいいる
当然の発想です。
これに対して口出しするのは,親御さんやご家庭だけです。
学習面や成績面での圧力をかける親御さんやご家庭の場合,子供たちは出来るだけ目の届かないところに逃げ場を求めます。ここで登場するのは・・・
学校 ・ クラブ ・ 個別指導塾
学校の教員は,成績が悪い子供に対して,親御さんやご家庭が何もアプローチしなければ,ただ単に通知表を下げるだけです。もちろん,授業運営上何らかの問題を起こす子供に対しては対処しますが,成績の良し悪しに対しては問題視しません。ですから,学校は学習に対して消極的な子供たちにとって居心地が良い空間です。
クラブは言うまでもなく学習面は二の次三の次どころか対極の空間・・・
個別指導塾は,前述のような 迎合教師 の空間・・・
学習に対して消極的な子供たちが理想とする充足空間です。
これが,親御さんやご家庭での意図と合致しているならメリット,合致していないならデメリットとなりますが
いずれにしても子供たちを学習や競争から遠ざけます。
個別指導塾の弊害⑤ 学力低下
そして何よりも恐ろしいのが、学習の厳しさ・難しさを知らされないまま、長期間ぬるま湯につかっていたせいで、
学習に耐えられないアタマ
が形成されてしまうことです。学習面だけにとどまらず,普段の生活にも波及します。
これは、個別指導塾に通い続け、成績が上がらず、「さすがにマズい」と思って他塾に転塾されても、すぐには改善しません。
そして、通常の価値観にもどり、本来有るべき授業に耐えられるようになるまで、程度にもよりますが半年以上かかる場合もあります。
まとめ
個別指導塾を組織的に運営するためには,人件費が安い講師を大量に確保する必要があります。
当然,上質な講師を大量に集めることは不可能ですし,仮にできたとしても人件費が高くなっては,運営できません。ですから,経験が浅く人件費が安く済む学生アルバイトが多くなるのは道理です。
塾で講師をする際,資格などは何も要りません。
飲食店のアルバイトなどと同様,時間と気力さえあれば,誰でもできるお仕事です。
研修もほとんどなく,あっても2~3時間程度のようです。
学生アルバイトは長くても大学卒業とともに辞めるでしょうし,個別指導アルバイトの場合は特にシフトが不安定ですから,早々に見切りをつけて辞めます。もともと彼らには長く携わる職業という意識はありませんから,技術力の向上も見込めません。同じ場所に長年個別指導塾があったとしても,中身の講師が毎年のように更新されるため,永遠に経験は浅いままとなります。
一方,個別指導塾には時折「元中学教員」などという講師もいます。確かに豊富な講師経験があるように思えます。しかし,もし経験豊富な優れた教員だったなら,よりによって未経験の大学生でもできる個別指導講師として雇われることは無いと思います。それに,子供たちは「現中学教員」の授業を毎日受けているはずなのに,わざわざ塾に来てまでリタイヤした「元中学教員」の授業を受ける意味も分かりません。
いずれにしても,個別指導塾は,講師や教室長の入れ替わりが激しく,各講師の経験や技術が蓄積しませんし,同時に講師としての自負や責任感も育ちません。もちろん,過去の合格実績なども良くも悪くも参考になりません。塾の卒業生が数年後塾に遊びにいったところで,講師はおろか教室長や塾長までごっそり変わっていることでしょう。
講師や職員だけが悪いのではなく,組織的な個別指導塾はそのシステム上どうしても「無責任」「その場しのぎ」になってしまいます。これが,上記のような「個別指導の弊害」を引き起こす最大の原因です。
個別指導塾には,親御さんやご家庭からその将来に期待されている子供たちが,あまり通っていないというのも肯けます。