個別指導の弊害

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個別指導塾には様々なものがあり、すべてを画一的に扱うことは難しいですが、ここでは「中学受験特化個別指導」と「それ以外」に大きく分けてお話しします。

中学受験専門個別指導塾など

中学受験を専門に扱う個別指導塾や、ごく小規模な個別指導塾などで、かなりの実績をあげている塾がありますから一流の講師が運営しているものとあると思われます。

しかし、中学受験専門の個別指導塾などは・・・・

〇費用が恐ろしく高額

〇単科塾で特定の科目しか扱わない

〇大手中学受験塾と併習(かけもち)が前提

など、何か特殊な塾が多く、なかなかとっつきにくいものかもしれませんし、一つ一つが小規模で、その分塾ごとに大きな差異があります。

しかし、共通して言えることですが、高額な費用はさておき、単科塾や掛け持ち前提塾の合格実績には注意が必要です。

中学受験はもちろんどんな受験でも、一教科だけで済むわけないです。では、単科塾の場合、他の科目の学力はどうしたのでしょう。当然他塾や家庭教師などで補完しているはずです。そもそも、複数の塾に通う子供たちがどの塾をメインだと思っているか自体よくわかりません。

したがって、単科塾単独での合格実績はありえないことになりますし、多くは一人の生徒の合格実績を他塾などとダブルカウント・トリプルカウントしてしまっていることでしょう。

これは、「大手塾のクラスを上げます」などといった謳い文句の、大手塾のカリキュラムやテキストをそのままなぞる掛け持ち前提の中学受験専門個別指導塾にも当然起こり得ることで、その塾単独での実績は不透明です。

しかし、講師自体が中学受験難関校志望者の指導経験が豊富であれば、子供たちの目的に合致すればかなりの効果が期待できる塾かもしれません。合格実績には惑わされずしっかり選択すれば、有意義なものになるかもしれません。

その他大多数の個別指導塾

上記の中学受験専門個別指導塾のような職人気質な塾もありますが、これは極めて少数です。

大半・・・いや、ほとんど全ては「勉強の仕方を教える」「わかるまで教える」「オーダーメイド」などといった漠然とした謳い文句で、様々な生徒を幅広く集める個別指導塾です。

このような、何でも御座れ」的個別指導塾でも、もともと成績優秀者であれば生徒自身で事前に質問や問題点を用意し、その解説を個別対応すれば学習効率を上げられます。簡単にいえば、生徒自身が授業の主導権を握り、プランニングすると言うことです。先生に自学自習の手伝いをさせる感覚でしょうか。

しかしこれができる生徒はごくわずかですし、逆にそういう生徒たちは、このような「何でも御座れ個別指導塾」を選ばないのではないでしょうか。

個別指導塾の弊害① 素人

ご父兄があまり深く考えず、比較的学習が苦手なお子様を、学生アルバイトなどの素人講師が多々存在する「何でも御座れ個別指導塾」にゆだねてしまうと、経験・知識に乏しい先生は、「やってはいけない」指導を一生懸命に熱心におこないます。

そして、営業専門で雇われている教室長などの教室責任者や素人経営者は、指導内容自体理解できていませんので、ダメな授業に対して注意・改善すらできません。

そして、残念ながらもともと学習が苦手なお子さんも、授業の良し悪しが分かりません。

よくわからない人たちがよくわからないまま無為に時間だけが過ぎていき、授業料が累積していく・・・という感じです。

このような有様ですから、「何でも御座れ個別指導塾」よりも学校の授業の方が断然有効です。国家資格を持ったプロ教師が授業をしていますから、そもそも学習が苦手なお子様でしたら、まず学校の先生に相談しましょう。無料です。

個別指導塾の弊害➁ 宿題

これは、個別指導に限ったことではないですが、塾の宿題過多は学習において弊害どころか足枷になります

具体的には

宿題偏重 → 宿題不完全 → やり直しの増加 → 次回授業時間減少 → 宿題に丸投げ →宿題不完全 →・・・

の悪循環が起こります。授業時間が短いために、消化不良がたまっていくのです。

宿題の弊害については、別アーティクルをご覧ください。

淀川区 塾

個別指導の講師は、毎度の授業の内容や宿題を業務レポートして提出する義務がある場合が多く、「宿題」を出します。その宿題が、生徒自身で出来るような内容ではなく(または出来てもやらない)、次回の授業を圧迫することになります。そして授業が前回の宿題でつぶれても、また新たな宿題を出すことになります。

もちろん、どこかで限界が来ますので、開き直っての指導放棄(先生と世間話して遊んで、時間つぶして終了)などが横行します。

これは先生自身の指導力云々以前に個別指導としてのシステムの欠陥です。

個別指導塾の弊害③ 迎合

何でも御座れ」的個別指導塾のよくあるシステムですが、

「講師・先生を選べる・チェンジできる」ところに、問題があります。

子供たちが授業の良し悪しが分かるぐらいなら、それなりの学力を有し成績もよいでしょう。しかし、「何でも御座れ」的個別指導塾に通う子供たちは、大多数が比較的学習が苦手な子供たちでしょうから、前述のように授業の良し悪しは分かりません。

そこで起こるのが

授業が簡単すぎる = 分かりやすい

先生が優しすぎる = 面倒見がよい

等といった、価値観の崩壊です。

これがさらに進むと・・・

雑談・遊興にふける講師が重用される

という事態に陥ります。

まともに授業をしようとする(少数の)講師がいたとしても、子供たちの人気がないばかりか、講師の交代を宣告されたり、それが理由で減給・解雇されるでしょう。

このように、「何でも御座れ個別指導塾」は、講師の悪しき淘汰が行われ、子供たちに迎合する劣悪な講師しか生き残れない厳しい世界になっています。

個別指導塾の弊害④ 学力低下

そして何よりも恐ろしいのが、学習の厳しさ・難しさを知らされないまま、長期間ぬるま湯につかっていたせいで、

学習に耐えられないアタマ

が形成されてしまうことです。

これが、「何でも御座れ個別指導塾」に通い続け、成績が上がらず、「さすがにマズい」と思って他塾に転塾されても、すぐには改善しません。

そして、通常の価値観にもどり、本来有るべき授業に耐えられるようになるまで、程度にもよりますが半年以上かかる場合もあります。

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