成績保証制度
「成績保証」など謳う塾がたくさんあります。
半年以上(8か月~10か月程度)休まず塾に通い続け、それでも成績アップしなかった場合に「一か月程度の無料授業」が受けられるというものです。(もちろん入塾前からすでに高得点を取っている生徒には適用されません)
成績アップ保証規定を実際に読んだことがありますが、遅刻欠席・宿題忘れなどで成績アップ保証不適用になったり、夏休み・春休み期間中の強制受講(高額です)が成績アップ保証の条件になっていたり、子供たちやご父兄が成績アップ保証を受けるためには、かなり高いハードルを越えなければなりません。
成績アップしなかったとき、保証される!!だから安心?
いえいえ、そもそも半年以上受け続けて効果が無かった授業を一ヶ月間タダにしてもらって、何の意味があるのでしょうか。もともと効果が無く無駄な授業を受け続けるだけ損。タダでも欲しくない商品です。
成績アップを保証するというなら、払い込まれた授業料を過去にさかのぼり全額返金した上、貴重な時間を無駄にしたことへの慰謝料を支払うのが筋です。効果が無い授業を受けている間に、入試というタイムリミットは容赦なく近づいてきます。時間を失うことは巨大なダメージです。
成績アップするのか?
そもそも学校の定期テストにおいて、学年平均が一科目あたり20点前後変わることはザラです。問題の難易度を緻密に調整して、学年平均を一定に保つスキルを持つ学校の先生も稀でしょう
「前のテストの平均点が低かったので、今度は簡単にします」
などと、授業の場で生徒たちに公表する先生も居らっしゃいます。
学年平均は、結局
“問題作成者(担当の先生個人)のさじ加減”
です。平均点を上げたければ、記号問題を増やせばいいだけのことです。
もちろん、学校ごと・学年ごとに問題難易度はバラバラです。
学年平均の変動に伴って生徒個人の成績も自然に変化します。上がったり下がったり・・・運次第です。
すなわち、毎回取ってきた得点に対して「前回より上がった・下がった」では、成績の変化はわからないということです。せめて学年平均との差を毎回算出しないと、成績判断はできません。
塾側のリスクは?
こんな状況下で、塾は、
「半年~1年弱 ぐらいの長いスパンを設けておけば、どこかで簡単(学年平均が高い)なテストもあるだろうし、まぁそのうち一回でも高得点をとればクリア!」
と考え、「成績アップ保証」を謳い、保護者を釣ります。
もしダメでも、授業料を一か月タダにすれば済む話ですから、すでに納入された授業料を考えれば安いものです。
過去にさかのぼり全額返金し、慰謝料を支払うのなら話は別ですが・・・
成績(点数)は、理解度や能力にかかわらず学年平均次第で上下動しますから、成績アップ保証しても塾側にリスクがありません。
たとえ保証期間が迫ってきても・・・
成績アップ保証は科目別で判定しますから、他の科目をほったらかして特定の科目ばかりテスト前に学習すれば、その科目だけは確実に成績アップしますので、保証は楽々クリアできます。
英語を除外
実は、一度下がってしまった英語の力は、よほどのノウハウがなければ改善しませんし、もしできたとしても膨大な時間がかかります。そして、他の科目(特に理科・数学)のように一学期になれば勝手に学年平均が上がるといった現象も起きにくい科目です。
すなわち、個別指導の形態で英語の成績UPは期待できません。
ですから、成績アップ保証から英語を除外している個別指導塾も存在します。「一度下がってしまった英語の力はつけられません」と自ら宣言している塾ですが、ウソが無くむしろ比較的健全な塾だと言えるかもしれませんね。